の第一印象?
何でオンナがこんなトコにいるんだ?
って、それ以外にナンかある?






「はぁ〜あ、やってらんねーぜ。」

いつものようにドッグの片隅に座り込むと、持って来た雑誌を適当に開く。
毎日毎日くだらない訓練の繰り返し、それが終われば反省会という名のミーティング。

「こう毎日同じ事繰り返されちゃたまんねーっつーの。」

部屋で静かに本を読むのもとっくに飽きて、持ってきた雑誌もあらかた読みつくした。
あとここで出来る暇つぶしといえば・・・

「昼寝くらいしか楽しみなんてねぇよな。」

そのままそこにゴロリと寝転がると、手にしていた雑誌を顔の上に乗せた。
真面目に休息が必要なら部屋で休むが、今は単なる暇つぶし。
ここにいれば色々な人の声や音が絶えず聞こえていて、ちょうど音楽のように聞こえない事も無い。

「・・・ま、雑音だらけのラジオってトコか?」

誰に言うでもなく呟いた言葉がやけにはまってる気がして思わず口元が緩む。
だが今日はその雑音の中からひとつだけ飛び出た高い声が混じっていた。

「・・・あ?」

その声は最初調整している機械の音や人々のざわめきでよく聞こえなかったが、そのまま耳を澄ましていると段々自分の方へ近づいてくる気がした。

「オレを探してんのか?」

起き上がる事無く雑誌を少しだけ持ち上げて周囲に視線を走らせると、後姿しか見えないが小柄なヤツが何やら周りの人間に声を掛けている。

「・・・アイツか?」

白衣を身につけたやけに小さなヤツ。身長は俺達の中で一番小さいニコルよりも更に低そうだ。
雑誌の隙間から覗き見をしていたら、誰かが俺の方を指差したおかげで振り返ったヤツと瞬間目が合った気がした。
そっと雑誌から指を離して寝たフリを決め込むオレの頭上から、恐らくさっき見ていた人物の声が聞こえてきた。

「貴方がディアッカ・エルスマンですか?」

側で聞く声は雑音など一切混じらない、少女のような柔らかい声。

「・・・違うよ。」

取り敢えず今は休憩中、余計な仕事させられるなんてゴメンだね。

「でもあちらの整備士さんがそうだとおっしゃったんですが。」

「見間違いだろ?」

「でも・・・」

「あっちの方でも寝てるヤツいるだろ?そっちだと思うぜ・・・」

確かオレと反対側で休んでる整備士がいたよな。取り敢えずそっち行け、そっち。

「そうですか・・・お休みの所失礼しました。」

「あぁ。」

それだけ言うとそいつはカツカツと言う音を立てて俺の側から離れて行った。

「・・・単純だな。」

本当に離れたかどうか確認すべく、先程と同じように雑誌を持ち上げて周りを見渡すと白衣の人間は反対側まで移動したのが確認できた。

「にしても珍しいな。オンナがこの艦に乗り込んでるなんて・・・」

仮にも軍隊の艦、主に乗船しているのはヤローばかり・・・そんな所に女を置くなんて。

「どうぞ間違いを起こして下さいって言ってる様なもんだよな。」

誰かの後ろ盾でもありゃ別なんだろうけど・・・。

「ま、オレには関係ないって事で、さてもう一眠り・・・」

大きな欠伸をひとつして再び横になろうとした俺の背中に妙に不機嫌な声が届いた。

「ディアッカさん!」

「は?」

ゆっくり振り返るとそこには俺達と同じ赤の軍服の上に白い白衣を着込んだ、さっきオレの所へ来たヤツが仁王立ちしていた。

「やっぱりディアッカさんですね!」

あっちゃー・・・ばれたか。

「はいはい、オレがディアッカ・エルスマンですけど?何か?」

「今日、クルーゼ隊の皆さんは定期健診の日だと言う事をお忘れですか?」

「・・・そうだっけ?」

「そうなんです!他の方々はすでに終了されてあとは貴方だけなんです!医局までご同行願います!!」

定期健診・・・あぁそう言えばこの間イザークが今度こそオレの身長抜いてやるとか言ってたっけ、すっかり忘れてたぜ。
俺は勢いをつけて立ち上がると、白衣を来たヤツの頭に手を置いて顔を近づけた。

「ま、こんな可愛い子が呼びに来てくれたんだから行かない訳には行かねぇな。」

「なっ、何を言ってるんですか!?僕は男です!!」

真っ赤になりながらもキッパリ言い切ったそいつの顔をじっと見つめる。
・・・どこら辺が男だって?

「確かに貴方より僕は小さいし、女みたいな顔をしてますが・・・ちゃんと男です!」

「へぇ〜・・・」

男・・・ねぇ・・・。

「・・・とにかく!早く来て下さい!!」

ふてくされて俺の前を歩く自称男の後を着いてドッグを出て廊下を歩く。
オレが2歩歩く所を3歩で歩き、服の上から見ても分かるほど細い肩、細い腰、折れそうなほど華奢な腕・・・ったく何処をどう見たって女じゃねぇかよ。
まぁ口調だけなら男みたいだけどな。
そのまま二人で廊下を歩いて行くと、ある曲がり角で突然出てきた人間にぶつかって自称男が俺の方へ吹っ飛んできた。

「わっ!」

「おっとぉ」

両手でそいつの体を抱きかかえて・・・確信した。

「あ、すみませんでした。」

「・・・いーや。」

何も無かったかのように起き上がって再び歩き始めたコイツに気付かれないよう手を当てて緩みそうになる口元を必死に押さえる。
コイツはやっぱり女だ。
何を考えて男のフリしてこんな所にいるのか。
誰がコイツをここへ送り込んだのか・・・興味はつきない。

「それじゃぁディアッカさん、定期健診こちらの部屋です。」

「おい、お前の名は?」

「僕ですか?」

「あぁ。」

「僕はです。」

「ふーん・・・いつも医局にいんの?」

「えぇ大抵は・・・それが?」

「いーや、別に。」

それだけ聞くとオレは定期健診が行われているという部屋へ入って行った。



その後何度か医局へ出入りして、がアスランの幼馴染で近々クルーゼ隊長の秘書も兼務する事になるって知った。
が女だって気づいた事はまだ誰にも言っていない。
こんなに楽しい事、そう簡単にばらしてたまるかよ。
もう少し、楽しませて貰わねぇとな♪





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第一印象ディアッカ編。
何故か彼はドッグで寝てるイメージがあるんだですよ。
で、何かしらサボったりしてたりして〜と言うわけでこんな話になったとさ♪
何気に好きです、こんなディアッカが。
全てを知っているけどそれを言わない。端で楽しんでいるような人です。
にしてもディアッカ・・・捏造だよねぇ、コレ(笑)
だって彼の口調今だにわかんないんだもん(TT)
さーて、次は誰だろう?って言うか全員書けるのか!?